この旅一番のヤマとなる2日目の朝が明けた。峠越えの日だ。
6時前から目が覚め、そのまま出かけられるくらい気持ちは前向きである。
しかし、いかんせん「朝食付き」プランを選択していた自分は、7時まで朝食を待たなければならない。失敗した。素泊まりにしとけば良かった。
7時まで時間があるので、はやる気持ちを抑えつつ、昨夜は入らなかった「内風呂」に入る。いい温泉だし、自分しかいないので独占状態である。
すっかりリラックスした自分は、7時からの朝食(1人客は自分のみ)を会食場でいただく。
そして温泉に入り腹も満たされた自分は若干のダルさを感じながら、自転車へ荷物を括り付ける。
アピドュラのサドルバックごと外して部屋へ持って行ったので、再度サドルバックを自転車につけるのは少し難しい。形が変わるため、サドル下とフレームとうまく形が合わないのだ。
仕方ないので一度中身を全部出し、サドルバックを括り付けたうえで再度荷物を入れなおした。
この旅の後、荷物を入れる順番や向きなど再度厳密に考える事となる。バイクパッキングは厳密さを要求させる。登山のパッキングもそうだが、入れる順番、使い頻度など考えに考え抜き決定し、試行錯誤を繰り返す。
それが楽しい。
さあ、山形へ!鍋越峠へむけてスタートだ!
国道347号線 鍋越峠 宝栄牧場への道

昨日苦労して登った坂を爽快に下り、347号線に出る。あとはだらだらとゆるい登りになっているので、ケイデンスを一定に保ちつつ、進む。
坂はいいのだが、向かい風なのが参った。
4月末の寒さがまだ残っている。
途中、崩壊した家がある。雪で潰されたのだろうか。山へ向かう気持ちも高まってくる。

だんだんと坂もキツくなり、SPD ペダルで引き足を使いながら登り続ける。
雪解けの沢を見下ろしながら、だいぶ山へ入り込むと、新しく作られた橋がかかっていた。

私は高所恐怖症である。
幸いまだ橋は完成しておらず、山側を迂回したおかげで怖くは無かったが、こういう高所に架かる橋が旅の一番のネックだ。
特に自転車はサドル位置が高いので、橋の欄干から落ちるんじゃないかという恐怖感に悩まされている。
私以外にこんな自転車乗りの方はおられないだろうか?
とにかく2、3回こういう橋を超えて、いよいよ峠、と言った風景となる。
鍋越峠を超え、今回の旅の一つの目標である宝栄牧場へ上る。峠とは思えない雄大な景色が見れるという。そしてそのまま銀山温泉へ降り、温泉街を散策する計画だ。



途中、雪解け水が流れる道を、ゆーっくり漕いで行く。
最後は急な坂になり、限界だったので自転車を降りて押した。
「尾花沢市」と書かれた役所の車が脇を通り、乗っている人も「ここまで自転車?」的な顔で抜いていった。
そしてついに山頂へ。



やくらいガーデンと違い、景色はまだ冬である。
遠くに山脈を眺め、峠なのに広大な牧場になっている。すごい景色。
芝が生えたころや秋は良いだろうな、と思った。
銀山温泉に行くはずが。。。
ひとしきり周辺を回って、風も強いのでそろそろ銀山温泉側へ降りる道に入り、下り始めた途中、1台の軽自動車が登ってきた。
老夫婦が乗っていたが、すれ違いざまに軽く会釈すると、車を止め、
「この道路下っても雪で通行止めだよ」
と教えていただいた。
危なかった。降りてから登り返すのは精神的にも肉体的にもきつすぎる。
丁重にお礼を言い、仕方なく元来た道を引き返す。残念だが銀山温泉はまた今度にしよう。
宝栄牧場から349号線に戻り、直接尾花沢へ下ることにした。
峠にあるような牧場だったので、国道に戻ってからは下るのみ、今までずっと登りだったので、とても楽だった。
下りきったところで尾花沢市街地へ入る。
そこでお昼にした。
4月末の峠越えは寒かった。防寒のグローブ、自転車ソックスなど、末端を温めるものを持ってくれば、と思った。
尾花沢のお蕎麦屋さんでお昼を食べ、2日目のゴール新庄へ。
地図で見た感じ近いし、すぐ着くと思ったが、これが誤算で、ナビで見ていたのは自動車専用道だった為、迂回ルートをさまよいながら新庄へ向かった。しかも登りの疲れか道を誤って、反対方向へ10キロくらい進んでしまい、時間もロスしていた。
いらだちもあり、道も迂回路をつなぎつつ不安だったため、尾花沢から新庄はとても遠く感じた。
下道をなんとかつないで、新庄へ入ったのは夕方だった。

とにかく2日目、宝栄牧場を見ることができた。銀山温泉は残念だったが、銀山温泉に寄ってからの新庄までは時間的にはきつかったので、丁度良かったのかもしれない。
この日は新庄駅前のルートインで泊まった。
とにもかくにも、明日は旅のクライマックス、最上川川下りコースで酒田入りだ。
5月に入るので五月雨を・・・だが、夕日を見たいので晴れてほしい、と願い、寝た。
つづく
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