3日目の朝が明けた。
予定ではついに本日、日本海に到着である。そして沈む夕日を見るのだ。
太平洋から日本海へ。日本横断である。
ルートイン新庄で朝のバイキングを食べ、おもむろに自転車準備をする。ルートインは頼むと部屋に自転車を入れることができる。
初日にパンクした前輪も何とか持ちそうだ。ビニールテープでリム穴の段差をなくしたのが良かったらしい。自転車とは原始的かつ効率的な乗り物である。
そして、装備編でも書いたが「Sugoi」のレーパンがまさに凄い。全くお尻が痛くない。ブルックスの革サドルのこなれ具合のおかげもあるが、ほかの安いレーパンでジャイアント エスケープR3で走っていた時は、2時間くらいでお尻が痛くなり、少し漕いでは立ち、漕いでは立ち、を繰り返さないとお尻が持たなかったが、この組み合わせは一切お尻の痛みを感じずに来れた。
Sugoiとブルックスサドルの記事はこちら
最上川 川下り47号線
新庄市は丁度桜の季節だった。

市内から出て、47号線をひたすら西へ。そのうち最上川が現れ、並走して行く道だ。
結構後に気づいたが、比較的自転車を漕ぐのが楽だ。考えてみれば酒田に向けてずっと緩やかに下っているため、進みが早い。昨日はずっと山登りだったので、体力的には楽である。ただこの日はゴールデンウィークの合間の平日だった為、トラックの交通量が多く、47号線は川沿いの細い道なので、車が怖かった。途中の雪除けのトンネルの中など、緩いのぼりのところなどが点在し、直ぐ脇をトラックが抜いていくときは恐怖である。早くトンネルを抜けたい。
しかし天気は最高で、まさに5月らしい日差しと新緑、そして最上川を眺めながらのライドは楽しい。




道の狭さとトンネルを除けば、さすが観光地、川下りルートの景色は爽快だった。
新緑を楽しみながら進むうちに山あいを抜けて、徐々に平地らしくなってくる。

だんだんとまっすぐな道になり、景色も開け、「庄内平野」を実感する。
広大な「平野」。仙台平野はあまり広大さを感じないが、こりゃ「平野」だな、と感じた。
風車が多く、山あいの狭い道からの解放感もあり、途中のラーメン屋でお昼にした。

酒田市へ 生理的な問題
いよいよ酒田市に突入だが、ここで大きな問題が発生した。
前回も書いたが私は高所恐怖症である。
酒田市に入るには一級河川最上川をまたぐ長く長く高い橋を渡らなければならない。
この旅最大の難関が訪れた。
グーグルマップで見ると、3、4本橋が架かっているが、1本は車専用っぽいので、残り3本の橋から極力狭くない、高度、怖さを感じない橋を選ぶことにした。
1本目、47号線上にある細い橋は狭くてダメ。渡っている途中で抜き差しならなくなりそう。
3本目は河口近くで一番長そうな橋だったので、それもダメ。
結局2本目、7号線の橋が歩道など整備されており、そこを渡ることにした。自転車だとなんだか入り辛い橋だったが、なんとか歩道をゆっくり、そして半目で意識を飛ばしながら渡りきる。恐怖に打ち勝つため、変な自作の歌を歌いながら、すれ違う中学生に変な目で見られつつ、なんとか橋を渡り切った。
自分に打ち勝った瞬間だった。(しかし本当にこんな自転車乗り、いないのかな?)
ついに酒田に到着である。海へ直行。漁港で日本海を眺め、感慨に浸る。

天気も良く、酒田港近辺をひと回りしたのち、夕日を見るという今回の旅の目的までまだ少し時間があるので、ホテルにチェックインし、仮眠をとった。
そして17時、アラームで起きた自分は夕日を見るため、酒田港へ向かう。
夕日ポイントはすでにシャッターチャンスを待つ人やカップルたちがいた。
そしてその瞬間は訪れた。



生まれて初めて海に沈む夕日に感動した。
天気にも恵まれ、沈んだ後も美しい景色、余韻に浸ることができた。すごい景色だ。
本当に来てよかった。
やり切ったうれしさと、心地いい疲れに満たされながら、旅の目的を達成し、一人ホテルで祝杯をあげた。庄内平野の開放感、日本海の夕日、酒田は素晴らしいところだ。
つづく
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